「こーちゃん猫好きだもんな。あ、ごんノ丞ってまだ生きてんの?」

けいちゃんが参加してきました。緒方くんは一度瞬きます。

「ごんのじょう?」

「先代の猫様です。さすがにもうお亡くなりに。ごんノ丞が亡くなって四十九日は喪に服しました……。いまはうー様がいますよ。母の友人の家で生まれた子猫をいただいてきて育ててるんです」

ポケットからスマホを取り出して、壁紙を見せます。

私のスマホの壁紙はうー様の写真の一択です。

緒方くんが覗きながら訊いてきました。

「名前、うーさまっていうの?」

「うみです。私が勝手にうー様とかうみ猫って呼んでるんです」

「美猫だなー。いいなー、猫。俺も飼いたい」

「飼えないんですか?」

「料亭の隣だからね。衛生的な問題で」

「………」

なるほどです。看板猫犬も大変そうですもんね。

「じゃあうちにうみ猫見に来ます? 人見知りしないし撫でられるの好きだから触り放題ですよ?」

「マジで⁉ 蔦子姉ちゃんも誘っていい?」

「蔦子先輩も猫お好きなんですか?」