「蘭、今のツッコミは秀逸。これからあたしも朝宮を変態会長と呼ぼう」

やめてください――――っ! 私が流布したと思われたら大変です―――! 私の脳内が叫んでいると、書記の席にいる同級生の緒方(おがた)(みき)くんが蔦子先輩に噛みついてきました。

「会長の威厳丸つぶれだからやめてください! 蘭丸も、人に言っていいことと悪いことがあるよ」

うん、それには肯けます。でもね?

「緒方くん、さっき私、仕事のついでに膝枕を所望されたんですよ?」

「う……それは……」

緒方くんはカーッと頬を染めてから、誤魔化すようにコホンと咳ばらいをしました。

「朝宮会長、蘭丸を構うのもほどほどにしてください。いくら蘭丸が優秀な優等生だからって限度があります。さすがに今のは会長が悪いです」

緒方くんが私をフォローしてくれたけど、会長は何故か平坦な目になりました。

「……うん、優秀な優等生だね」

……会長、シラケた瞳で私を見ないでもらえます? いくら緒方くんの私への評価に納得がいかないからって。

「ほら! 早く手を動かさないと帰りが暗くなっちゃいますよ! 私もお手伝いに来にくくなります」

とか言って、正直もうお手伝いに来たくないんですよね……あ。

私を見てにっこりする会長と目が合ってしまいました。

地獄の獄卒の微笑みにしか見えません……。

「蘭、俺が蘭を手放すと?」

「………」

手放してくださいよ……。

~~~会長のお気に入りなんてもう御免です!