「あら、いらっしゃいけいちゃん。今日はお客さん?」
「こんにちはおばさん。今日はお客さんです。あと、俺の生徒会仲間」
店に入ると、奥でコーヒーをひいているおじさんと、カウンターにいたおばさんが迎えてくれた。
軽く視線を泳がせると小唄さんは注文のお品を運んでフロアにいて、すぐに俺たちに気付いて小唄さんがこっちに来た。
「いらっしゃい蛍都。お友達さんも」
にこーっとした人の良さの見える笑みで出迎える小唄さん。
「はじめまして。お邪魔いたします」
「どうぞどうぞ、ゆっくりしてってね。今メニュー持って行くから、お好きな席をへどうぞ」
お辞儀をした哀淋に応えた小唄さんに言われて、こーちゃんに「どこがいい?」と訊いた。
こーちゃんは何で私に訊くんだ? みたいな顔をしたけど、「蔦子先輩と緒方くんがいいところで……」と返してきた。
……仕方なしに二人にも訊くと「どこでも」と答えがあった。んじゃ窓際にしよ。
その通りすがりで声をかけられた。
「おや蛍都くん。今日ご一緒なのは勉強道具じゃないんだね?」
「男爵はいつもとお変わりなく。今日は友達と一緒です」
「友達? にしては……いや、そうかい。また暇なとき話し相手をしてくれ」
「喜んで」
常連の老紳士に向かって、胸に手を当てて軽く頭を下げる。
そのまま少し離れた、今はひとけのない席に陣取る。
窓際に置かれた丸テーブルに、椅子は四脚。ちょうどだ。
「朝宮、今の人男爵なの?」



