「うん」

「じゃあ会長も蘭丸の猫かぶりに加担してたわけですか」

幹の語調は怒っているというより、分析している感じだった。

顔をあげて、また背もたれ側に体重をかけて座った。

腕を組んでみる。

「加担って。仲良かった子が秘密にしてるんなら、俺からバラすのもおかしくね? 一緒に秘密を護るだけだよ」

「蘭丸のアレ知られたら軽く事件ですよ? 何人の男子が騙されてるか……」

「幹」

幹の名前を呼ぶと、びくっとその肩が跳ねた。

俺は笑顔を張り付ける。

「もしかしてだけどお前も騙されてたクチ?」

普段通りの語調に気を付けて問うと、幹はビクビクしている猫みたいな目で俺を見て来る。

「お、俺が知ってるのは初っ端から会長の気配がある蘭丸だったんで、誤解はしてましたけど騙されてはいないっす」

ふん? 確かに幹からこーちゃんに気がある感じを受けたことはないけど……。

「あ、俺からバラしたりはしないですから。たぶん蔦子姉ちゃんも」

「あ、それは約束頼むわ。こーちゃんにムシが寄るのやだし」

口止めすんの忘れてた。とりあえず幹と哀淋だよな。

「……本性見たらみんな散っていくと思いますけど……」

幹のボソッと発言、聞き逃さないよ?