「……湖蘭が湖月お嬢さんには弱み握らせるなって言ってたけど、こういうことか……」

時さんが顔を引きつらせながら言います。

湖蘭姉様、ぬかりないですね。

「そういうことです。それより今日はどうされたんですか? 私がいることはご存知なかったようですが……」

暗に、何しに来たんだよてめえと言うと、時さんは視線を泳がせました。

「あー、その……うちのおばあ様から、『蔦子と幹が面白いことになってるから見に来なー』ってラインもらったから様子見に来たんですけど……」

「「原因時兄だよ!」」

「だよな……ごめん。別れないけど」

しょんぼりした時さんに、蔦子先輩と緒方くんはまたも同時に怒鳴りました。

さっき家とは勘当に近いと言われていましたけど、おばあ様とは連絡とってるんですね。

「お兄さん、おばあ様とは仲いいんですか?」

緒方くんに尋ねると、緒方くんは長い溜息をつきました。

「仲いいっつーか、ばあ様は緒方の絶対権力者だ。でも時兄の性格はばあ様譲り過ぎて息が合う」

「あ、なるほど」