「は? 妄想?」
私を背中にかばうように私の前に立った会長が、肩越しに顔だけ振り返らせてきました。
「はい。職員室への用事が終わって、そのまま生徒会室に戻ってもよかったんですけど、たまたまお三方を見かけたんで、私の妄想を聞いてもらっていただけです」
経緯は全然違いますが、妄想は披露しまくりましたからね。
あと三つほど披露してから殴られる展開を希望していたんですが……私が途中で飽きてしまったから仕方ないですね。
「……蘭」
「本当ですよ。会長はさっさと生徒会室戻りましょう。先輩方、もういいですよね?」
「………う、うん……」
一人が肯いたので、私は先に立って歩き出します。
少し遅れて、会長もついてきました。
あ、そうだ。お三方に言って置かなくてはと、足を停め振り返ります。
「貸し、ですからね、コレ。なんかの形で返してくださいね?」
先輩方に念を押すことは忘れません。
こんな言い方したら会長にはモロばれでしょうけど……ま、終わったことです。
また歩き出すと、ぐいっと後ろから腕を掴まれました。
勢いで振り向いてしまいます。
振り向いた視線の先には、険しい顔をした会長がいました。



