やはりそれでしたか。
っつーか、辞められるもんなら辞めてえんですよ、こちとら。
単調な振りかぶり方。真っすぐ私の顔面を狙ってくるあたり、連れ出す場所は探したけど、咄嗟のことになると後先考えない人たちだとわかりました。
人気のないところに呼び出すなら、腹とか見えにくいところ狙って攻撃した方が気づかれにくいんですよねえ。
まあ、威力もそんなになさそうですし、いなしてからの――
「蘭!」
へ?
先輩のこぶしが私の顔に届く直前に、私の名前が呼ばれました。
先輩のこぶしはそこで止まり、私には当たりませんでした。
「なにやってんだお前ら!」
怒鳴りながらずかずかと大股でやってきたのは、会長でした。
「あ、これ、は……」
あらまあ。一番見られたくない人に見つかってしまった感じですか? 浅はかですねえ。
「お前ら今、蘭に何する気だった?」
……会長、お怒りモードのようです。先輩方は小さくなって震えています。
……仕方ないですね。
完全に貸しにしますよ? あとで何らかの形で返してくださいね?
「会長、先輩方に私の妄想を披露していただけです」



