「――まあ私もそちらに都合よくシメられてあげようとか思ってないんで。一矢報いるじゃないですけど、ちょっと遊ばせてもらいました」
堂々と言うと、先輩たちはスッと真顔になりました。
「……いい度胸してるわね、あんた」
「よく言われます。蘭丸の構成成分は五割が度胸、五割がはったりです」
これ、本当です。
最初に言われたのは……いつか憶えていないくらい昔ですね。
先輩の一人が額を押さえました。
「……ごめん、なんかあたし疲れて来た……」
「うん、あたしも……」
「じゃあ軽く殴って終わりにする?」
ほう。解決法を暴力に求めましたか。
健全ではありませんが、手っ取り早いですね。
でもそういうのに甘んじる私でもありません。
やられたらやりかえす。世の条理ですよね?
それにはまあ、一発受けなければなりまんが、いなしゃいいんです。
見たところ武道を嗜んでいるようには見えませんから、受け流した勢いで眼前にこぶしでも突きつけますか――
「もうこんな真似されたくなかったら、生徒会辞めて?」
「――」



