私が恐る恐ると言うと、音々は誰もいない方を向いてこぶしを握りました。

「やっぱり蘭狙いだったのね! あの職権乱用会長!」

「は? いや、会長はそんなんじゃないと思うぞ……?」

会長は私のこと『弟』として可愛がってくれているようだし。

否定する私の話をちっとも聞いていない音々が、今度は私の方を向いて私の襟首掴んできました。私が絞め殺される⁉

「蘭ももう生徒会のお手伝いなんて辞めなよ! 蘭の素だって可愛いし面白いからみんなに知られても仲良くできるよ!」

「いや、別に私、素だと友達出来ないから装っているわけでもないんだけど……」

結構なことを言われた気がするけど、音々の乱心ぶりがただただ怖くてそっちまで頭がまわらない。

「音々、なんでそんなに会長のこと……?」

どうどう、と落ち着けさせるために音々の両肩に置いてみる。……はっ! まさか!

「音々。誤解しなくても、私と会長は幼馴染だったらしいというだけで、音々が会長を好きだとしてもなんも問題はないぞ?」

「好きじゃねーわよあんなの!」

……会長、ついにあんなの呼ばわりされる。