『湖風』にけいちゃんを連れて行ったあと、街に出てただ一緒に過ごしました。

本屋さんで蔦子先輩におすすめされている本をけいちゃんに紹介したり(私もまだ読んだことはない)、お昼にマック行ったり、けいちゃんは音楽に疎いと知ったのでCDショップで最近流行っているのを試し聞きしたり。

気の置けない友達と過ごしているみたいで、めちゃくちゃ楽しかったです。

……まあ、まだ思いだせていないのですけど。

今のけいちゃんの住まいとは離れているので、駅で手を振りました。

「蘭!」

家までるんたるんたと機嫌よく帰っていると、途中で音々の声に呼ばれました。

「音々?」

「よかったー! 全然連絡つかないから心配しちゃったよー」

連絡? 駆け寄って来た音々が腕に抱き付いてきたので、もう片方の手でバッグからスマホを取り出します。

………。

「ごめん……気づかなかった……」

そういやスマホ開いてなかったです。音々の親友失格です……!

切腹する勢いの私に、しかし天使な音々は微笑んでくれました。

「ううん。危ないことなくてよかったよ。そんなに楽しかったんだね。もしかして誰かとデート?」