……ま、いっか。こーちゃんの口が悪いのはいつものことだ。

「んじゃ、行こっか」

こーちゃんの左手を取って、入って来た方へ歩き出す。

「え、ちょ、あの」

「あっちからこちらを妬ましそうな目で見て来る奴もいるしなー。退散退散」

「へ?」

さっきこーちゃんが訪れた玄関あたりから、伽藍がものすごい形相でこっちを見ている。ふははは。みせつけてやれ。こーちゃんとつないだ手をわざとらしく振りながら闊歩する。

「……甲斐性なし。いえ、会長」

「今の言い間違い?」

「わざとです」

「そっか。こーちゃんらしいね」

「……会長の中の私、とんでもないクソですね」

「自分のことなんて言い方するの。で? どうかした?」

「否定はしてくれないんですね」

「否定したら余計面倒くさい言い合いになるだけだろ」

「………」

胡乱な顔。

「こういうことだよ」

俺もこーちゃんも面倒な性格というだけだ。