「蔦子先輩を伽藍の嫁にって打診があったの、私のせいだから」
………は?
「どういうこと?」
結婚問題に、こーちゃんが関わってるのか? なぜか俺の声が焦っている。
こーちゃんは「あー……」と言葉を濁したあと、不意に俺の右手を掴んできた。
「こっち来てください」
行きます。
こーちゃんに木陰に連れ込まれて……もしかしてさっきの湖蘭さんみたいな展開を望んでる? え、ちょっと待ってこーちゃん、それはまだ早い――
「伽藍が私に結婚しろっていうの、ずっと前からなんですよ」
「あ、うん」
なんだ、普通に話すのか。ちょっと期待しちゃったよ。
「物心ついたころからなんですけど、私は伽藍のこと、別に嫌いでもないけど結婚するほど好きでもなかったんでずっと断わってたんです」
結婚するほど好きでもないとか考える子供ってどうよ。
こーちゃんが生まれた時から知っている身だけど、なんかそういうところあるんだよなあ。
「で、私が断わり続けていたから、本家筋の人たちが、このままでは不毛だから伽藍に婚約者を作っちゃおう、みたいな画策をしていることは知っていたんです」
知ってたんかい。



