奴の目が大きく見開かれた。 口をあんぐりあけて、マヌケな顔して固まっている。 「…………は?」 の一文字を発するまで、ゆうに数十秒。 「…だから、好きなんだけど」 「…………」 「実はもうずっとずっとずーっと前から気持ち悪いくらいあんたのこと好きなんだけど。 我慢しようと思ってたけど、もう我慢できなくなったから言うわ」 今なら、ぜんぶ夏のせいにできる。 あまりに夏が暑すぎて、私をおかしくさせている。 私の理性を、溶かすくらい。 「…な、んで。我慢?」 掠れた声で奴が聞いてきた。