「花火見に来たんだよな? 良かったら、うち来ない? 河川敷に早くから場所取りしてるから、結構良い場所だよ。綺麗に見えると思うけど」
すかさずハルに声をかけるヤツ発見。
オレはハルを後ろから抱え込んで、威嚇。
「あー、この子、あんたの彼女?」
「そ。だから、触らないでね?」
にっこり笑うと、そいつはハハッと笑った。
「拓斗の友だちにしては、軽いよな?」
「いや、軽くないよ。オレの愛は地球より重いと思う」
そう答えると、そいつだけじゃなく、斎藤の友人全員が吹き出し、斎藤は小さくため息を吐いた。
笑いが収まると、斎藤は何人かからこづかれて、オレたちを誘う。
「あー、良かったら、ホントに来る? あいつが言った通り、場所は良いし、余裕あるから、3人くらい問題なく入れるけど」
斎藤はオレに言うけど、あいつらが声をかけたいのは間違いなくハル、そして志穂だろう。
どうやら男だけで来ているらしい。
「いや、オレたちも見る場所あるから」
「へえ、どこら辺?」
「あそこ」
と、川辺にそびえるホテルを指さすと、斎藤が首を傾げた。
「あそこに一部屋取ってあって、バルコニーから見学」
それを聞いた後ろの連中が、また騒ぐ。
「うっわー、リッチー」
「さすが、金持ち学校、やることが違うな」
あまり好意的ではないコメントに、ハルがキュッとオレの腕を握った。
大丈夫だよ、ハル。



