「これ……重いね」

 射的の細長い銃を受け取るなり、銃身が震えて狙いが定まらないまま、ゆっくりと台に下された。

 どうしよう、と言いたげな困った顔のハルが可愛くてならない。

 そんなハルの向こうでは、やる気満々の志穂が、

「よしっ、あのお菓子狙いで!」

 と最初の一発を打っていた。

「ハルは何か欲しいものがあるの?」

「え、……特には」

「じゃあ、あのウサギのぬいぐるみね」

「え、うん」

 オレはカメラを台に置くと、ハルを後ろから抱え込むようにして銃を持ち上げた。

「カナ?」

「一緒に打つよ。……ほら、引き金引いてみて」

 戸惑うハルを促し、狙いをウサギのぬいぐるみに定める。

「打っていいよ」

 オレが再度促すとハルは引き金を引いた。

 パンッ

「惜しい! 当たったのに!」

 悔しがるオレの腕の中で、ハルは目を丸くしてウサギのぬいぐるみを見ていた。

「もう一発行こうか」

 オレはまた狙いを定める。

「ハル、いいよ」

 パンッ

「あっ!」

 ハルが小さく声を上げた。

「やったな」

 コロンとウサギのぬいぐるみが転がり落ちて、お店の人が

「おめでとう!」

 とオレたちの前にぬいぐるみを置いてくれた。

 
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