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今から帰るって言葉を信じていた。



ずっと、帰ってくるであろう花菜を実家で待っていた。



だけど帰って来たのはーー。




冷たい体温のない花菜だった。


ずぶ濡れで、冷たくなった体温のない花菜の身体。




血色の悪い唇。







「ーー陽太。」






震える母さんの声は泣きそうだった。




「あ、そうそう。
花菜が来たら話すけどーー俺達お盆終わったら一緒に住むんだ!!」




「ーーーー陽太っ」



母さん、泣きそうだ。

だろ?


「そうして、花菜と結婚して来年には赤ちゃんとか出来たりしてさ!」




先の未来の話をしょう。




ねぇ、母さん。







笑ってよーーーー。








「陽太ーーっ、花菜ちゃんはもう居ないんだよっ。」





力強く抱き締められた、久しぶりの母の胸。



「ーーいや、花菜は帰って来るって約束した。


花菜が帰って来れないなら、俺迎えに行くよ」





ねぇ母さん。




花菜の居ない人生に、興味はない。




だけど、
花菜は帰るって記してある。

花菜が帰って来れないなら、迎えに行く。





「ーー母さん、花菜に会いに行ってくる」






俺の言葉に、母さんは真っ青になり顔をあげた。



「あんた、まさかーーっ。



あんたまでなんかあれば、わたしはわたしはーー」




大丈夫だよ、母さん。



母さんを1人にはしないよ。





ねえ、父さん。






俺は仏壇で笑う父さんを見た。