「ーー私、移動出来たの。。」

信じられない。

交差点から1度も動けなかった私が、いとも簡単に交差点から脱出したんだから。


隣で運転する男を見た。



黒髪、まあ、顔はそこそこイケメン。

身長とかは、車ん中じゃ分からないけど隣に座る私から見たら手足は長いし、まあそこそこ身長もあるだろう。



なんで、助けたの?



「ずぶ濡れだね、後ろにタオルあるから拭かないと風邪引くよ」


後ろ?

運転席の後ろに、青いタオルがある。


それを掴もうとして、横にいる大きめのクマのぬいぐるみに目を移した。




クマーー?



可愛い趣味してんな、コイツ。
言わないけど。



私の視線はクマに釘付け。

タオルをなかなか止まらない私に、不思議としたのか、ああ、と笑った。



「クマさん、可愛いよね」





ーー。。


天然なの?この人。


私が言うのもなんだけど、変な人。