1番に浮かんだのは、大好きな陽太。

お盆に帰るって約束を、果たさなきゃーー陽太に言葉を伝えなきゃ
私はまだ、死ねないんだって思った。


「陽太ーーなの?


私ーーっ、お盆に帰らなきゃって約束、守れなかったっ」




目の前に、陽太がいる。


陽太の頬に触れた。


思いのほか冷たくて、びっくりして腕を引いたら捕まれた。





びっくりして何も言えない。



「ーー花菜、お盆はまだ終わってないよ」




うん、まだ始まったばかりだ。



つまりーーーやり直せるなら今ってこと?



だけどーー今更、わたしは何をしたらいい?



あの日には戻れないーー。


「ちゃんと実家に帰ってないから。
帰って両親に言うって約束したろ?」



約束ーー。
だけどそれは、私が死んだことで叶わなくなってしまった。


陽太に、悲しい思いをさせた日に、タイムスリップしたみたいだ。







「陽太ーー、ずっと一緒に居られなくてごめんなさい。

悲しい思いさせて、ごめんなさい。
見つけに来てくれて、会いに来てくれてありがとう。


それだけで幸せだよーー」



これで、終わりに出来るんだ。









「ーーまだ、終わってないよ。


終わってないーー。」


陽太ーー?



陽太は、いつだって諦めを知らない。
陽太が、終わっていないって意味がこの時は、分からなかった。