父さんが居なくなったのは、俺が小学6年になる前のことだった。


お盆には、亡くなった人が帰ってくるって聞くけどーーーー

連れて行かれてしまった。


祭りの帰り道ーー。
酔っ払いフラフラな父親を、お盆時期が終わりかけの、16日。



事故に巻き込まれてそのままーー。



当時を振り返ると、兄弟のいない俺の支えはーーたった1人、花菜だった。







"大丈夫だよ、陽太っ。
私がいる。
私と2人で、お母さん守ってあげよう!"




いつだって優しい花菜に、いない姉を浮かべ、年齢があがるにつれて意識しだした。


中学から高校生卒業間近には、ほとんど喋らなくなっていた。


だけどーーこれじゃいけないと勇気を出したのは



卒業を、控えた1週間前。




君にーー好きを伝えた。








1週間なら、振られても我慢出来る。
卒業するまでの間ーー気まずくてもなんとかなるって。







"いいよ、付き合おっか!"




そんな恥じらうわけもなく、普通などこかに出かける様な感覚で、OKされた返事に似てる。



"あー、じゃあ、これからもよろしくっ"




本当に俺はバカかと、この時呪ったね。