その顔色は青く、手も震えている。なにか良くないことが起きたんだと察した俺たちは顔を見合わせた。

「冷静に聞いてね。横田さんがさっき亡くなったそうよ」

「え?」

「心筋梗塞だって。今娘さんがこっちに向かってるらしいわ」

穏やかな日常が一瞬でひっくり返った。

死はとても身近にある。他人事ではないし、命の儚さもわかっていたつもりだったけれど、悲しみとともに現実を再認識させられたような気分だった。


なあ、響。

俺はお前としたいことがいっぱいあって、伝えていないことも数えきれないくらいある。

本当は今すぐにでも会いにいきたい。

でも再会して〝また明日〟って言った次の日に俺はもういないかもしれない。

こんなことなら十四歳の時に言っておけばよかった。

何回言っても足りないくらいの「好き」を響に伝えていればよかったって強くそう思うよ。