呪い本14ページ 魔破りの目

反省した馬服くんは自首するらしい。18歳以下だから刑罰はどうなるかわからないけど、馬服くんは罪を繰り返したりしない。罪を償って、また誰かを元気にできるように。そう願っている。

二人で図書室を出ると、執印さんが入り口近くで待ち構えていた。手には鍵と紙があった。

「二人とも、まだ呪いがかかってるよね。解いてあげるから立ってて。馬服くん、人殺しの代償は消えないからね」

「わかってるよ」

執印さんが腰に手を当てながら念を押すように見つめると、馬服くんは右腕をさすった。右腕から首筋にかかる黒いもやは代償らしい。他の呪いと違って、見えるだけでどんなものかはわからなかった。

執印さんは私たちの目の前に立ち、呪文を唱える。こうして執印さんは私たちに呪いをかけた。


月曜日、また学校で顔を合わせる。
馬服くんは自首しようとしていたけど、私は警察まで行く間に執印さんが現場の遺体や証拠を消していると言った。呪いなんて信じてもらえないし、遺体も証拠も消えているんだから何もかも説明つかない。

だから罪を背負いながら、残りの人生を生きることになった。

「やっぱり後から全身が痛んできたよ」

馬服くんは疲れた目でそう言う。実は私も同じ。

馬服くんは魔破りの目をそもそも知らなかったけど、私は執印さんが二つの呪いをかけたのを見た。

一つは二人の体の状態を同じにする呪い。もう一つは呪いが使えなくなる呪い。

これで呪いを解くことはできない。
走らなくても体の負担がかかり続けるみたいで、呪いの効果が切れる前に私たちは死んでしまうだろう。

皆殺しにすると約束したのに私を生かすことにしたからか、執印さんも馬服くんのことが好きだったのか。

元から弱い私が先か、代償を背負う馬服くんが先か。

それでも残された時間を精一杯生きて、馬服くんと過ごそうと思う。