私はホッとして、そのまま歩き出すかと思ったら……。

「執印っていっつも暗いのにかずよにだけ強く出るよね。なんかよく変な本読んでるし、うちらに呪いとかかけてきそう」

みなきちゃんが肩を揺らし軽薄に笑うと、他の二人も同調した。

「よく図書館行ってるよね。そうだ、図書館行かない?執印が読んでそうな本探そう」

「面白そう〜。でみんなで借りてやらない?借りにきたらなくて落ち込むかも」

この話は終わるかと思いきや、執印さんへの苛立ちは止まらず、嫌がらせのようなことまで考えついていた。

そしてよくない動機で普段行かない図書室に向かうことになった。
図書室はもっと静かだと思っていたけど、ほどほどに話し声が聞こえる。紙のにおいが漂い、日差しが差し込んでいて明るい。入学してきたときの学校案内以来だけど、結構過ごしやすそうな場所だ。

「映画になってるやつじゃん」

「あ本当だ。映画観る前に本で話確かめとこうかな。でも驚きがなくなるしなぁ」

みなきちゃんが話題の本の棚に目をつけ、はなみちゃんが映画の本を覗き込む。

「あ〜これだよこれ。執印が好きそうなやつ」

二人から視線が外れていたななちゃんが、話題の本の棚から一冊取り出した。

「呪いの本?」

本の表紙を見てみなきちゃんとはなみちゃんが呟く。