昼食を食べ終えた私たちは、廊下の壁にくっついて他のクラスの子と話していた。その子が友達に呼ばれて私たちから去っていき、教室に戻ろうとしていた。

今日も三人の友達は横に広がって歩いている。本当は後ろに行くべきだけど、遠慮しないでよと結局前に引っ張られてしまうから、迷惑だとはわかっていても横に並んでしまう。

「わっ!」

そうしていたらやっぱり人とぶつかってしまった。ぶつかったのは同じクラスの執印(しゅういん)さん。私の落ち度でぶつかってしまったことから胸がキュッと縮まるけど、それ以上に気が縮まるのは……

「ごめんなさい!」

「いつもそうやって広がるよね。一良ちゃん、他の人のこと考えないとダメだよ?」

私を上目で見て、奥へ入れ込むように左肩を押してくる。

「うんそうだね。ごめんね。後ろに行く」

私は三人の後ろにつき、執印さんが空いた道を通る。

「人が通れるようにする、これ当たり前のことだから覚えといてね。これから注意して見てるから」

執印さんは振り返り様そう言った。
執印さんは言っていることは正しいけど、言い方に少し引っかかるところがある。それで中には苦手に思う人もいるんだ。

「広がって歩いてんのはうちらも同じだったじゃん!ぜぇぇったい言い返さないかずよを狙い撃ちしてる!」

「そうだよ、だってわざわざかずよの方歩く必要ないじゃん」

「ていうかこれから注意して見てるとかうぜぇぇ!なんだよ先生気取りかよお節介も大概にしろ!こっち見んな!」

予想通り、三人が噴き上がるように怒り出した。
三人は友達なんだから横に並ぶのは当たり前だし、人が来たら譲ればいいという考えだった。けど私は鈍いから人に気付かないこともあるし、その自覚があるのだから後ろにいればよかったんだ。

やっぱり私のせいだよね。

「多分私が人のこと避けられないのに広がってたからじゃないかな?一番人にぶつかりやすい人に注意するのはおかしくないし……広がってたのが悪いからこれからは気をつけるね」

怒りに同調しないよう、三人に笑って見せる。これで執印さんを叩くのが終わればいいんだけど……

「ううっ、かずよ優しい。そうだね、うちかずよを一人にしないよう横についとく!今日から私後ろ組だよ!」

「そうだ!二列になれば文句言えないでしょ!かずよは壁側歩きぃ。私は優しくないからこれでこっちにぶつかってきたらマジでキレる」

みんな納得してくれたみたいだ。これで落ち着いて二列で歩けるし、結果的によかったかな。