頬を膨らませるレミリアは、先ほど言っていたお菓子(クリームを大きめのクッキーで挟んだものだった)を皿に出してトレイに乗せる。そのトレイを持ったまま、一緒に台所を出た時だった。
「きゃっ」
レミリアは小さな段差の存在を忘れていたらしく、つまずいて一瞬よろけた。
すぐに体勢を立て直したが、それを見ていたらしいエドモンドが少し焦った顔をして寄ってきた。
「レミリアさん!大丈夫?気を付けてっ……」
「もう、大丈夫よ。ちょっとつまずいただけ。エド様は心配性なんだから」
「だってレミリアさんは今……」
「ほらじゃあ代わりにこれ持って。早くしないとせっかくアリシアちゃんが淹れてくれた紅茶が冷めちゃうわ」
エドモンドはレミリアに手渡されたトレイを小さくうなずいて受け取る。
二人のやり取りを見ていたアリシアは、思わずクスリと笑って耳打ちする。
「愛されてますね、姉様」
「ん……まあ、ね。心配しすぎだとは思うけど」
レミリアは困ったように頬をかくが、緩んだ口元を見るに、まんざらでもなさそうだった。



