はあ、とため息をついてみせると、カーラの顔色はまた青くなっていく。



「ご、ご、ごめんなさい」


「あら、謝るだけで済むと思っているのかしら」


「ええっ、あの、お金とかあんまり持ってませんよっ……」


「嫌ね。自分で言うのもなんだけど、うちはお金なら十分あるわ。貴女からせびるような真似しないわよ」


「で、ではどうしたら」


「そうねえ、お詫びの気持ちがあるなら……」



 すっかり怯えるカーラを見て、アリシアはニンマリと笑みを浮かべた。



「わたしのために紅茶を淹れてきてもらおうかしら。この城のお茶係である貴女が、一番美味しいと思う茶葉を使って、一番美味しい淹れ方で淹れたものをね」


「……紅茶?」


「ええ。あんなに苦くて不味いお茶を飲ませたのだから、そのお詫びにとびっきり美味しい紅茶を飲ませてちょうだい」



 カーラは一瞬驚いた様子だったが、すぐ頬を嬉しそうに紅潮させて何度もうなずいた。



「はいっ、もちろんです!お任せを!アタシがこれまでに出会った中で最上級の紅茶を今すぐお持ちいたします!」



 そう言い終わると同時に、カーラは給湯室の方へと走っていく。

 アリシアはそんな後ろ姿を見ながら、彼女の言う「最上級の紅茶」に期待を膨らませるのだった。