第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



 現実的に考えて、ただの平民であるメイドと国の第三王子が結ばれるはずはない。だけど、漫画の中では最終的にちゃんと上手くいっていたのだ。

 もちろんたくさんの障害はあったし、ライバルだって出てくる。



(……ん?ライバルといえば、何か忘れているような)



 そう、実は先ほどから何か引っかかっているのだが、『ライバル』のことを考えてそのモヤモヤがさらに増した。しばらく考えてやっとその正体に思い当たり、「あっ」と声を上げた。



「アリシア様たちが行ったの、ルリーマ王国って言いましたよね」


「……?ええ」


「そこって、あたしと同い年ぐらいのふわふわの髪をした可愛らしい王女様いませんか?」



 記憶が正しければ、あの女の子のいた国は隣国ルリーマ王国だった。

 ミハイルは首をかしげて答える。



「さあ。確かにニーナぐらいの王女は一人いたと思いますけど、髪型までは」



 やはりそうか。ニーナは記憶が正しかったことを確信し、神妙な面持ちでうなずいた。

 あの漫画には、単行本にも収録されていない後日談がある。ルリーマ王国の王女は、そこで確か──



「大変ですミハイルさん!アリシア様に恋のライバル出現かもしれませんよ!」


「はい?」