考えを改めるようになったのは、やはりアリシアの存在があったからだ。
この世界のアリシアの周りは、笑顔で溢れている。王子たちや彼女の侍女、それからミハイルも。
そこまで考えて、ニーナはふと思い出した。
「そういえば前から聞こうと思っていたんですけど、ミハイルさんはアリシア様の侍女には本気なんですか?」
アリシアとの話の中に、ミハイルとアリシアの侍女であるノアは恋愛関係なのではないかという話があった。
正直、いつもどこか敵視してくるノアのことはあまり好きではないのだが、この王宮で働く数少ない友人であるミハイルの浮いた話は気にならないわけがない。
ミハイルは、少しだけ口角を上げて答えた。
「ずいぶん唐突ですね。もちろん、本気ですよ」
「あれ、意外にあっさり認めた」
「どうせアリシア様が言っていたのでしょ?事実なのだから隠すこともない」
「うわあクールだな……」
少しぐらい照れる素振りを見せても良いのに、と思う。からかいがいがない。
「じゃあ、あの侍女のどこを好きになったんですか?」
「そうですね……どこか苦労人そうところでしょうか」
「何それ……」
「あとは普通に顔も好みですよ。飛び抜けて美人とは言いませんが、落ち着きがあって綺麗な人です」
「えー……何かもっとこう、『ここに惚れた!』みたいなポイントないんですか?」



