ディアナはイルヴィスの言葉の意図が掴めないようで、小首を傾げる。アリシアにも彼が何を言いたいのかはよくわからない。



「いや、本当に友達になりたいと思っているのなら別にいい」



 イルヴィスはそれ以上は特に何も言わなかった。


 そんな様子で晩餐は終わり、最後に小さなケーキと紅茶が出てきた。この国でできたフルーツを使ったケーキらしい。

 とても美味しいケーキなのだが、やはり今一つ集中できない。が、紅茶を口に付けたとき、舌に衝撃が走った。



(苦っ……!)



 とてつもない刺激的な味に顔をしかめる。

 苦い。ものすごく苦い。

 以前アリシアが調合した苦い苦い薬草茶『アリシアスペシャル』ほどではないが、一気に飲もうとすれば吐き出したくなるような苦さである。



(何なのこれ……)



 だが、イルヴィスもカイもディアナも、何も言うことなく普通に紅茶を飲んでいる。

 この苦い紅茶はアリシアのものだけらしい。


 わざとこんなお茶を出したのだとしたら。目的としてすぐ頭に浮かんだのは──仕返し。何を隠そうアリシアにも経験がある。



(愛する殿下を奪った憎い女に対する仕返し、とか……?)



 自然とディアナに疑いの目を向けてしまう。