アリシアは得意の作り笑いを浮かべて首を振る。

 見え透いたお世辞であると感じてしまうのはひねくれているだろうか。



「私、アリシアさんとは是非お友達になれたらなと思っておりますのよ」



 混じりけのない純粋な目。アリシアは、ディアナの瞳にそんな印象を抱いていた。

 憎き恋敵であるはずのアリシアに、彼女は恐らく本気で友達になりたいと言ってくれている。



「……もちろんです。わたしなどで良ければ」


「まあ、嬉しい。お恥ずかしながら私、同年代のお友達があまりいなくて」



 本当に良い子なのに、何故だかちゃんと仲良くできる気がしない。

 喜んでくれているディアナに心の中で謝りながら、アリシアは料理を口に運ぶ。相変わらず味に集中できない。



「ありがとうアリシア殿。ぜひディアナと仲良くしてやってくれ」



 カイは、妹に友達ができたことが嬉しいのか、どこか上機嫌だ。それに対しイルヴィスは少しひんやりとした声で言った。



「私が口を出すべきことではないかもしれないが……ディアナ、お前は本当にアリシアと仲良くするんだな?」


「……!もちろんですわ!どうしてそんなことをお聞きになるのです?」