うっとりと眺めていると、カイが黄色のハイビスカスを一つ摘み、アリシアの髪にそっと挿した。
「えっ……摘んでしまったらもったいないですよ」
「気にすることない!どうせこの花は一日しか咲かないから、あと数時間もすれば萎んでしまうんだ」
「これ、一日しか咲かないんですか?」
「ああ。美しい貴女に彩りを添える最期なら、花も幸せだろう。よく似合っている!」
「あ、ありがとうございます……」
歯の浮くような甘い言葉に気恥ずかしくなり、つい声が小さくなる。彼はどうやらこのような言葉も、喜ばせるためというより本気で言っているらしく、逆にタチが悪い。
カイは満足そうに笑い、優しくアリシアの髪を撫でた。
どうして良いかわからず視線をさまよわせていると、程なくしてパシッという音と共にカイの手は振り払われた。
「触りすぎだ」
「ん、そうか?だが、好いている女性に触れたいと思うのは自然な感情だろう?」
厳しい声で言うイルヴィスに、カイは不満そうな声を上げる。
「少しは自制しろと言っている。アリシアの婚約者は私だ」
「少し髪に触れるくらいでもだめなのか?お前たちを見ていると『婚約者』という関係は意外と脆いもののような気がしてくるな」
「何だと?」



