第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II




「本っ当に申し訳ありませんでした!!」



 向かいに座るアリシアは、声に後悔をにじたせながら、イルヴィスに深く頭を下げてきた。

 びしょ濡れになったワンピースは幸い替えがあったようで、違う色のものに着替えられている。ただ髪はまだ乾いておらず、綺麗なターコイズブルーが少し湿っている。


 先ほどイルヴィスの乗っている馬車を訪ねてきた彼女はだいぶシュンとしていて、海で見せていた幼子のような無邪気さは息を潜めていた。その表情から察するに、あのノアという侍女にこってりしぼられたのだろう。

 アリシアは謝罪が済めば自分の乗っていた馬車に戻るつもりだったようだが、彼女より一足先にイルヴィスの元へやってきて話し相手になっていたカイはそれを止めた。



「せっかくだ、城に到着するまで三人でしゃべっていよう」



 カイはそう言って半ば強制的に連れ込んだのだ。


 イルヴィスは、繰り返し謝罪するアリシアに「もう良いからそろそろ頭を上げろ」と苦笑する。

 アリシアはその言葉に、頭だけ上げてイルヴィスの方を見つめてくる。



「本当にお怪我はありませんか?服も濡れてしまって……」


「大丈夫だ、特に怪我はない。それに受けとめ損ねた私も悪いしな」


「ですが元はと言えば私が転んだのが……というか海に入りたいと言ったのが原因です」