第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II




 結果──

 バシャンと大きく水しぶきを上げながら、アリシアは盛大に転んだ。



「いたた……」


 
 やってしまった。完全にやってしまった。


 ゆっくりと目を開く。
 と、何故か、至近距離にイルヴィスの顔があった。


 髪から水がしたたるその姿があまりに美しくて、混乱したアリシアは状況が理解できないまま、じっとその顔を見つめる。

 すると、見つめられた彼はふいと顔を背けて言った。



「アリシア、すまないが怪我がないようならそろそろ下りてくれ」


「え?……あっ!」



 その言葉でようやく、アリシアは今何がどうなっているのか知った。

 アリシアはが倒れているのは砂の上ではない。イルヴィスに覆い被さるようにして倒れていた。

 どうやら彼は、バランスを崩したアリシアを受け止めようとして、逆に巻き込まれて一緒に倒れてしまったらしい。

 おかげで彼の服や髪までびしょ濡れである。



「ごめんなさい!今すぐどきますっ」



 しかし慌てていたせいか、またズルりと足を滑らす。その上今度は、咄嗟にイルヴィスに抱きついてしまった。



(まずい……)



 うまく体勢を立て直せない。焦りゆえか、心臓がバクバク音をたてる。