第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II




「わあああ!」



 二十分ほど歩いてたどり着いた海岸。

 視界いっぱいに広がる海の青いグラデーションは本当に美しく、太陽の光を浴びてキラキラ光る様子はもうこの世のものとは思えない。


 グランリア王国も海に面した国であるため、海自体は何度も見たことがあった。だがこれはアリシアの知る海とは全く違っている。

 今まで見てきた海は、基本的に深くて流れも急。そして色はコバルトブルーのような深い青色のイメージが強い。

 こんなに透明感があって穏やかな波の海は初めてだ。

 アリシアはいても立ってもいられなくなり、うずうずしながら尋ねる。



「あの、少しだけ海に入ってみても?」



 実は、海に入ることは前世からの憧れだった。
 病弱だった前世では、海やプールで泳いだことはもちろんなかったし、それどころかこんなに海辺近くまで来たこともなかった。

 海水浴シーズンにニュースなどで楽しそうな人達の映像を見ると、うらやましくて仕方がなかったのだ。



「お、お嬢様……それはちょっと」



 アリシアたちに付いてきたノアが、慌てた様子で引き留めようとしてくる。王子たちの前ではしたないと言いたいのだろう。