「もちろんいるにはいるが、あんな欲望と嫉妬まみれで見栄ばかり張っている女たち、怖いじゃないか」
「……まあ否定はしない」
「その点彼女は違う!俺が王子であることなど知らず、何の見返りもなしにああやって親切にしてくれた。その心の美しさに惚れたんだっ!」
「さっきは一目で恋に落ちたんだと言っていたじゃないか」
残念ながら、イルヴィスの冷静なつっこみは届いていなさそうだ。
カイは向かいに座るアリシアの手をおもむろにとった。
「今もまだ想いは募っていく一方だ。ああ、友人の婚約者をこうまで愛してしまうとは……!この気持ちは罪なのだろうか……!」
「罪だ」
イルヴィスはバッサリそう言い捨て、アリシアの手を握り続けるカイの手首をギュッとつかんだ。見るからに力が入っていて痛そうである。
案の定、カイは悲痛な叫び声を上げる。
「痛い痛い!悪かったから手を離してくれ!折れる!」
「安心しろ。折れないギリギリで加減してやる」
「安心できるかっ!」
しばらく痛そうに顔を歪めていたカイは、しばらくしてようやく解放されると、赤くなった手首をティーカップで冷やしていた。



