お茶を飲みながら話を聞いていたアリシアは、思わず吹き出しそうになった。
「す、少しお待ちください……ええと、勘違いでなければその女性というのは……」
「貴女のことだ、アリシア殿。俺は貴女に恋をしてしまった!」
「っ……!?」
隣に座るイルヴィスが、また大きくため息をついてそっぽを向いた。
彼が先ほどから気まずそうだった原因はこれか。
「昨夜は少し目を閉じるたびに、その綺麗な髪から絹のように白い肌、眩しい笑顔に至るまで貴女の全てが蘇ってきて一睡もできなかったよ。ああ、彼女を嫁に迎えたいと気持ちを高ぶらせていたんだ。……なのにっ!」
カイは額に手を置いて天井を仰ぐ。
「よりにもよって、祝いに来たはずの幼馴染みの婚約者だったとは!」
なるほど、それであのようにショックを受けたような反応をしていたのか。
アリシアは納得と同時に、カッと顔が熱くなる。思い返してみれば、男性からこのように好意を言葉にされたのは多分初めてだ。
イルヴィスはそんなアリシアをちらりと見て、面白くなさそうに言った。
「カイ、お前も国に戻れば婚約者候補などいくらでもいるだろう」



