よくぞ聞いてくれたとばかりに得意げにされるが、意味がわからない。

 頭にはてなマークを浮かべていると、アリシアの隣に座っていたイルヴィスが、堪えきれなくなったというように笑いだした。



「はは、なるほど。こそこそ何かしていると思ったら、また作っていたのか」


「はい。ここにしかない珍しい薬草もありまして、この前作ったものよりさらに苦味が増しているはずです!」


「この前のもかなりの味だったらしいが……そうか、さらにか……」


「殿下も試してみますか?」


「いや、遠慮しておく」



 何故か盛り上がっているが、ディアナには話が見えない。

 首を傾げると、イルヴィスが説明してくれた。



「これは、アリシアなりの仕返しなんだ」


「仕返し?」


「そうだ。アリシアは自分をあんな目に遭わせたことをああ見えて恨んでいる。だからその仕返しがその苦い薬草茶なんだろう」



 薬草茶。とても飲み物であるとは思えないほどに苦いが、本当にお茶なのか。しかも油断させるためなのか、色だけは紅茶っぽいところに悪意を感じる。


 アリシアはディアナの考えを汲み取ったように、嬉しそうな笑顔を浮かべたまま言う。




「大丈夫です。味は苦いけど、毒になるような薬草は全く入れていませんし、むしろ身体には良いですよ」


「そ、そうなんですの……」