「カーラ!」



 ディアナは数歩カーラに近づき、名前を呼んだ。



「私、カーラが淹れてくれるお茶が、とても好きでしたわ」



 カーラは立ち止まり、ゆっくりディアナの方へ顔を向ける。

 今にも泣き出しそうな目をしているが、無理やりに弱々しい笑顔を浮かべた。

 そして、何かを呟いたかと思うと、深く頭を下げた。


 ここからでは、その声はさすがに聞こえない。


 だが口の動きは、『ありがとうございます』と言っているように見えた。