言われてみればそうか。アリシアは少し考えてから言う。
「では、ディアナ」
「よ、呼び捨ては流石におかしくありません?」
「ふふ、殿下とカイ様の呼び方に倣ってみたのですけど、やっぱりダメですか。なら普通にディアナ様、と……」
「ダメとは言っていませんわ!」
ディアナはようやくこちらを向いて、やや食い気味に遮った。
かと思うと、すぐにハッと我に返り目をそらした。
「その……そう呼ぶことを許しますわ。ですけど、こちらだけ呼び捨てにされるのは嫌ですので、私もアリシアと呼びます。よろしいですわよね?」
「ええ、もちろんです」
アリシアがそう微笑むと、ディアナもつられたように笑った。
ディアナからこんな心からの笑顔が向けられたのは初めてかもしれない。