第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



「殿下、震えていますよ」


「当たり前だ!私がどれだけ心配したと思っている」



 すっかり落ち着きを取り戻したアリシアがクスリと笑うと、強い口調で責めるように言われた。



「もしあの時ディアナがいなかったら、あのまま海に落ちるところだったんだ」


「本当ですね。走馬灯が見えかけました……あっ」



 アリシアはイルヴィスの体をそっと押し、自分を抱きしめているその腕を解く。

 何故かイルヴィスには少し不服そうな顔をされたが、気にせず周囲を見渡す。


 探していた人物は、何の表情も浮かべず、まっすぐ海をみていた。



「ディアナ王女」



 アリシアは声をかけ、彼女の方へ歩み寄る。

 ディアナはアリシアのことを一瞥して、また海の方を見た。



「ディアナ王女、先ほどは助けてくださってありがとうございました」


「ありがとうって……本気で言っているんですの?」



 深く頭を下げるアリシアに、ディアナは面食らったように言う。



「わたしが貴女を誘拐しようと企てたりしなければ、そもそも命の危険に晒されるなんてこともありませんでしたのよ?」



 責められこそしても、お礼を言われる筋合いはない。彼女はそう言い放つ。