ディアナが痛そうに小さな呻き声を上げた。
どうにか顔を向けると、カーラがディアナの腹部に蹴りを入れていた。
「いたい……」
「母さんの人生を狂わせた家の娘が!生き残った上に王女として贅沢三昧の日々を過ごしている?たかが失恋しただけで恋敵の存在を消そうと計画するような女が?ふざけんじゃない」
「やめ……て」
「だから計画を乗っ取らせてもらったのよ。安心してください。ディアナ様のことをすぐに殺すようなことはしません。言葉も通じないようなどこか遠くの知らない国で、辛く惨めな思いをしながら生きてみれば良いんだわ。その後で殺してあげる」
ディアナの綺麗な服に、靴底をグリグリと繰り返し押し付けた後、カーラはふーっと長く息を吐いた。
「まさか二回同じ話をさせられるとは思いませんでしたけど。まあ良いです、どうせ船旅は長いんです。せいぜいゆっくり楽しんでください」
アタシはこれで、とカーラは眼鏡を軽く押し上げて、アリシアたちに背を向けた。
後ろではディアナがすすり泣く声が聞こえる。
アリシアは目を閉じ、思い切り息を吸って、去っていくカーラの背に向かって大きな声で言った。
「ねえ、のどが渇いたわ」



