第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II




 しかし、呼びかけた彼女の名前が、アリシアの口から最後まで発せられることはなかった。

 強い力で、誰かがアリシアの手を後ろから引いた。

 突然の出来事を理解する間もなく、嗅いだことのないような、甘ったるくて胸焼けのしそうな香りが嗅覚を刺激した。それと同時に、何か布のような柔らかいものに口を覆われる。



「ん……!んんっ」



 驚いて声を上げようとすると、口元をさらに強く布のようなものを押さえつけられた。

 どうにか抵抗しようと暴れたせいで、息苦しくなり、思わず甘ったるい匂いをいっぱいに吸い込んでしまう。と、同時に意識が一気に遠のいていく。

 意識が完全になくなる直前、こちらを振り返り笑みを浮かべるディアナが、遠くに見えた気がした。