第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II




(ええと確かハイビスカスが咲いていたのは……)



 広大な庭の中、キョロキョロと周囲を見渡しながら、記憶を辿りつつハイビスカスの植えられていた場所を探す。

 前はカイに案内される方についてきただけだったため何度も迷いかけたが、何とか見覚えのある場所まで来られた。



(さてと……待っているのはディアナ王女と落とし穴のどちらかしら)



 足元に注意を払うことを忘れずに、ゆっくり足を進めていく。

 すると──



(あっ)



 ハイビスカス畑の中に(たたず)むふわふわした金髪の少女の姿があった。



(本当にディアナ王女が……無視しなくて良かった)



 降り注ぐ日差しを眩しそうに手で遮りながら真っ青な空を見上げるディアナ。

 割と離れた距離から後ろ姿を見ているだけなのに、彼女から哀愁とも呼べるような、どこか儚い雰囲気が感じられる。


 ゴクリと唾を飲み込んで、彼女の方へ足を踏み出す。

 ディアナはアリシアに話したいことがあるということだが、こちらも話したいことはある。昨夜の涙の理由をはじめ、色々と。


 意を決して、彼女の名を呼ぶべく口を開く。



「ディア……」