「ずっと考えていたんです。どうやったらイル様が私のものになるのかなって」



 ゆっくりゆっくり彼に近づき、そっと手を伸ばす。

 汗でしめり、色味のさした頬に触れると、イルヴィスは荒い息をしながらディアナを睨みつけてくる。



「簡単なことですよね。既成事実をつくってしまえば良いんです」


「……何のつもり、だ」


「既成事実があれば、私があなたの妻になることを、お父様もきっと反対したりしない。……まあ、ものすごく怒られるとは思いますけれど。イル様だって、そこら辺の身分の低い女ならいざ知らず、友好国の王女である私相手に関係を持ったならば、蔑ろにはできない。そうですよね?」



 ディアナは薄いドレスから肌をのぞかせ、イルヴィスの座るベッドの上へのぼる。ベッドをぎしりと軋ませながら、微笑を浮かべて彼の耳元で囁くように言う。



「イル様、私を抱いてください」



 そっと寄りかかり、彼の腕へぎゅっと抱きつく。

 ずっとこんな風に触れたかった。妹のようにではなく、恋人のように。



「きゃっ」



 唐突に手首をイルヴィスに掴まれる。

 そして、そのままベッドの上に押し倒された。