心底安心そうな笑顔だ。城の使用人たちに嫌がらせをされていたことは彼にも相談していなかったが、何か気がかりなことがあるというのは気づかれていたようだ。



「……もしかして、心配して様子を見に来てくださったんですか?」


「ん?いや違うぞ!俺がただ貴女に会いたくなっただけだ」


「あ、あはは……そうですか」



 アリシアは苦笑して、ハイビスカスティーをまた一口飲んで口を潤す。

 それから、ティーカップをそっとテーブルに置き、真剣な目付きでまっすぐカイを見た。



「実はわたしも、カイ様と二人でお会いしたいと思っていたんです」


「二人で?」


「いくつか、聞いておきたいことがありまして」


「ほう……」



 声のトーンから軽くない雰囲気を察したのか、カイもティーカップをテーブルの上に戻した。



「初めに言っておきますが、わたしが今から言う話は、ただの状況証拠を元にした推論であり想像です。全くの検討はずれなら、好きなだけ笑ってください」


「構わない。貴女が俺に会いたいと思うほどに話したかったことなのだろう?どんな突拍子のない話でもきちんと聞くさ」