「わたし、彼女に殿下を取られたくありません。無意識に考えないようにしていましたけど、もし殿下がディアナ王女の方がわたしなどより妃に相応しいと思いでもしたら……。やっぱり絶対に嫌です」
「ふふ、そりゃ嫌でしょうね。……まあでもそんなことはない気がするけど」
レミリアはそう笑うが、『アリシアが婚約破棄された世界』ではディアナが彼の妃となる。その事実を知った以上、ないとも言いきれないと思う。
「だからわたし、殿下のところへ戻ったら、絶対に気持ちを伝えます」
「ええ。それが良いと思うわ」
妹がそう言い出すことを予想していたかのように、レミリアはゆっくりうなずく。
それからアリシアに向かって優しく微笑んだ。
「小さかった妹がいつの間にか成長していたのね」
「姉様……」
「あなたとは歳が少し離れていることもあって、いつまでも子どもだっていう気がしてたんだけどなぁ……恋バナが聞ける日が来るなんてね。感慨深いものがあるわ」
そういう言い方をされてしまうと、照れくさいような恥ずかしいような、ムズムズした気分になる。
「ああもう、だめだわ。結構遅くなってくるのに、楽しすぎて目が冴えちゃった……全く眠れそうにないもの!エド様に怒られちゃいそう」
レミリアは部屋の時計を見て、少し焦ったように言う。



