それでもやっぱり、愛する人との子どもが欲しかった。

 話しているうちに感極まったようで、涙を指でぬぐいながら静かにそう言う。エドモンドがそんな妻へ白いハンカチを差し出す。



「ありがとうエド様。嬉し涙はもう十分すぎるくらい流したと思ったんだけどね。アリシアちゃんに話してたらまたジンときちゃったみたい」



 レミリアは受け取ったハンカチで目を押さえた後、レモン入りの紅茶をゆっくりと飲む。

 それからまたティーポットから注ぎ足そうとした彼女を、アリシアは「あ、ちょっと待ってください」と止めた。



「姉様、紅茶には妊娠中に摂取することが好ましくない成分も含まれています。飲みすぎにはご注意を」


「あら、そうなの?」


「わたしも本で読んだことがあるという程度の知識なのですが、お腹の子に悪影響が出る恐れがあるとの話です。あと、ハーブティーも飲んで良いものと悪いものがあるんです」


「知らなかったわ。気をつけないと」


「飲んでも大丈夫なハーブティー、書き出しておきますね」


「お願い。だけど赤ちゃんができるって、知ってはいたけどやっぱり大変なのね。大好きなティータイムも制限されちゃうなんて」