それを見たアリシアは、思わず立ち上がる。そして「わああ!!」と歓声を上げながら手をたたいた。



「本当ですか!?おめでとうございますレミリア姉様っ!」



 以前はあまり着ていなかったはずのゆったりめのワンピース。レミリアが走ったり転びそうになると、大袈裟ではないかと思うほどに心配するエドモンド。そしてエドモンドの母から贈られたというたくさんのレモン。

 全て妊娠のためだったのかと思うと納得がいった。



「ありがとう。この前発覚したばかりなの。実家にも手紙を送ろうか迷ったけど、アリシアちゃんが来るっていうから、驚かせようと思って。父様たちには手紙を書いておいたから持って行ってくれる?」


「もちろん!任せてください。ああだけど本当におめでとうございます」


「子どもはずっと望んでいたから、お医者様に言われた時は本当に嬉しかったの」



 その瞬間を思い出すように、レミリアはゆっくり目を閉じる。


 彼女はこのハーリッツ家に嫁いでから数年経つが、これまで子どもはできなかった。



「長い間家を守ってこられたお義母様でさえ、プレッシャーにならないように『子どもはできなくても親戚から養子をもらうなりなんなりすれば良い』なんて言ってくださってたんだけどね」