廊下の方から聞き慣れた2人の声が聞こえてきた。 クラスで一緒の木原晴人(きはらはると)と西村将生(にしむらまさき)だった。 晴人が意味深な笑みを浮かべて正吾を見ている。 「あー、紅音と正吾じゃん。なんだ、まだ、いたんだ」 「ああ、俺達、もうすぐ帰るところだよ」 将生が目を細めて正吾と紅音に言う。 「お前ら、本当に仲が良いよなー。うらやましいよ」 「そんなんじゃないしー」 すかさず紅音がかえした。 その時、俺は紅音の顔をチラッと見た。 そうなんだ、そんなんじゃないんだ俺達。 正直、ちょっと寂しかったな。