「でも、叔父さんは私の事覚えていましたよ?パソコンも修理に出したと言っていましたし…」
「それは手帳にメモを取っていたからです。高瀬さん、分厚い黒手帳に記録していたから」
「あれ、ネタ帳じゃなかったんだ…」
「しかし、変ですね。高瀬さんに頼まれて黒手帳に薬の処方箋を貼っていたんですよ。睡眠薬の適量も書いていたから、間違えるはずないのに…。やっぱり自殺だったのですかね…」

医院長の言葉に私はもう一度遺書に目を通す。確かに自殺をほのめかすような文だが、最後の一文がそれを否定している。この遺書は作家である『高瀬透』を死なせてしまった叔父さんの謝罪文だ。