叔父さんは再び机の側に行き、引き出しから何かを取り出して私に差し出す。遺書と差し出した茶封筒はA4サイズの紙が折れずに入る事が出来る大きさだった。

「今、読んだらダメなの?」
「明日の方が有難いな」
「…しょうがないな。叔父さんの冗談に付き合いますか」

私は封筒を小脇に抱えて玄関へ向かう。

「じゃあ、私は帰るから」
「おう、気を付けろよ」
「うん、バイバイ」
「ああ。…さよなら」

私が手を振って扉を閉めると叔父さんも軽く片手を上げる。しかし、扉を閉めるその瞬間、その微笑みに翳りがあった気がした。